平成24年9月6日、国の文化審議会から文部科学大臣への答申により、平成14年4月17日県重宝に指定されていた602点を含む1,308点が、縄文時代晩期を主とした出土品の中でも、祭祀的な性格が強い遺物が多く、本州と北海道を含めた地域との文化や物資の交流の実態を考えるうえで極めて貴重な資料として、国の重要文化財に指定されました。

遺跡の概要

位置

 遺物が出土した二枚橋(2)遺跡は、津軽海峡に面したむつ市大畑町二枚橋地区に所在します。遺跡周辺は、標高20メートルから50メートルの舌状(ぜつじょう)台地が、大畑川と茶水川(ちゃみずがわ)に挟まれながら、海峡に向かって延びています。遺跡はその台地上、標高45メートル前後の平坦地を中心に立地していました。晴れた日には北海道恵山や東通村尻屋崎を望むことができます。現在は大畑中央公園陸上競技場として、広く利用されています。

 ←赤い○の部分が遺跡範囲です。

調査概要

 大畑中央公園建設工事を中断し、当時の大畑町教育委員会が平成9年に調査しました。調査の結果、縄文時代中期の竪穴住居跡が3棟、縄文時代晩期の配石遺構が2基の他、土器、土製品、石器、石製品、骨角製品や遺構が多数出土、検出されました。その中でも、縄文時代晩期に相当する遺物や遺構が多数を占めていることが特徴的です。また、土偶や土製仮面が出土しており、祭祀が行われていたと思われます。
※遺構(いこう)とは、過去の生活の跡(住居、城、溝等)を言います。

主な出土品

土偶

  

土製仮面

 

土器

   

石刀・石棒

  

 

出土品の保存活用

保存修理事業

 平成25年度より、保存修理が必要な遺物について、文化庁の指導と国庫補助金を受けながら修理を実施しています。

 令和2年度は石棒1点、石刀2点、石製玉25点の修復と、それらの一括保存台5点の作製を進めています。

 今回の修復資料は全て石製品ですが、いずれも脆い石材のため、折れたり剥がれたりしてしまう恐れのある資料です。これに対し、樹脂を染み込ませて丈夫にしていくという作業を行います。

 修復資料(石刀)

 No.1202石刀

No.1202石刀破断面 

 左の画像は、上の石刀の左側をアップにした写真です。

 折れている面にまだ土が付着しています。

  

 

 

 

 

クリーニング

 樹脂を染み込ませる前に、まずはクリーニングを行い、土を落とします。

 

 

 

 

樹脂含浸

 

 汚れを除去したら、樹脂を塗り染み込ませていきます。 

 この作業は一度樹脂を塗ったら終わりではなく、薄めた樹脂を何度も何度も塗っていき、徐々に補強していく必要があるため、繊細で根気のいる作業です。

 

 

 

修復資料(石製玉)

No.1210石製玉No.1212石製玉  No.1211石製玉

上3枚の写真は石製玉の拡大写真です。いずれも大きさは1cm前後しかなく、中央に孔が開けられています。現在のいわゆる「ビーズ」で、孔に紐を通して多数を繋ぎ、首飾りなどの装飾品としていたのではないかと思われます。

このような石製玉50点が重要文化財に指定されています。

しかし、凝灰岩という非常に脆い石で作られているため、劣化が進み表面が粉状に剥落している状態です。

上3枚のうち中央の写真では、資料の上側に黒バックが白くなっている部分が見えますが、これは写真撮影中に資料から粉状に剥落してしまった部分です。これを放置すると、どんどん剥落が進んでしまうので早急な処置が必要でした。

石刀と同じように、樹脂を染み込ませて補強していきます。

土面一括保存台 

 保存台

  資料の修復だけでなく、安全に保管、管理できるよう保存台の作製も行っています。

 左の写真は令和元年度に作製した土製仮面の一括保存台です。このような保存台は展示等の活用も見据えて作製しています。

 

 なお、土製仮面は19点が重要文化財に指定されていますが、一つの遺跡から見つかった数としては全国最多を誇っており、二枚橋(2)遺跡の最大の特徴と言えるでしょう。

 

公開活用事業
  1. 現在整備検討中の(仮称)文化財展示場に一部展示
  2. 全国の博物館において、企画展や特別展への貸出
  3. 指定品について写真図録、パンフレット等の作成

 ※ 現在は展示施設を整備検討中のため公開していませんが、重要文化財指定品外の一部は大畑公民館に展示しています。

 

 発掘された日本列島2014

 「発掘された日本列島」は文化庁が主催する事業で、平成7年から実施され平成26年で20周年を迎えました。全国において毎年8,000件近い発掘調査が実施されており、その成果と近年特に注目された出土品を、巡回して展示しています。
20周年を記念して、「日本発掘」と題して開催館ごとに、この20年で国宝・重要文化財になった考古資料と特別史跡・史跡になった遺跡が紹介されました。

【東北歴史博物館】

 東北歴史博物館では、「日本発掘」「新発見考古速報」「復興のための文化力」「復興と創造のために ー宮城の復興 発掘調査ー」の展示・紹介が平成26年5月31日から7月9日までの期間で行われ、「日本発掘」では「二枚橋2遺跡出土品」が展示されました。

     

 二枚橋2遺跡出土品は、東北歴史博物館のみの展示でした。土偶4点、土製仮面5点が陳列され、なかでも蹲踞形の土偶が人気高だったようです。
他に、重要文化財 柳之御所遺跡出土品(岩手県平泉町)も展示されていました。 

その他、過去の展示実績   

【平成24年度】 新指定 国宝・重要文化財 (東京国立博物館)

【平成23年度】 縄文至宝展  (八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館 開館記念特別展)※県重宝

【平成22年度】 仮面の考古学 (大阪府立弥生文化博物館 夏季特別展)※県重宝    など